在宅勤務介護日記_父の年代の人生観
母の薬を出してもらいに、かかりつけ医のところに行きました。このかかりつけ医は亡くなった父も大変お世話になった先生で、わたしが母の用で受診すると必ず父の話をなさいます。
「お父さんの声、忘れられへんなあ」と言ってくださるので「いつも思い出してくださってありがとうございます」とお伝えします。
お父さんは話し好きな人やったなあ、とおっしゃいます。そうだと思います。父のおしゃべり好きに辟易としていた家族は父と話することを避けていたので、その反動なのか父は外出先でおしゃべりを楽しんでいたようです。
「わたしは悪い娘でしたので、今になって父にかわいそうなことをしたなと思います」と先生に話しますと、先生は、なぜ父と仲が悪かったのか、年を取ると丸くなるっていうやないか、お父さんはええ年寄りやったやろ?と。
年を取ると丸くなるというのはたぶん70歳代ぐらいまでの高齢者、自分の老いに対してまだ余裕のあるうちで、それ以上になるとどんどん口(くち)にブレーキが利かなくなるみたいだと思う、とわたしが言うと、先生は「それもそうかもな」と。
「おそらくおじいさんのころは人生せいぜい70年ぐらいと考えられていた、その価値観を引き継いで成長してきた年代がお父さん世代や。予想外に長生きになってどうしていいのかわからない人も多いはずや」と先生がおっしゃいます。
父の年代は第二次大戦の影響をしっかりと受けていて、終戦を境に180度価値観を変えざるを得ない年代。世相に振り回された父もかわいそうだったなあ、と思います。そんな会話をかわした、”母のため”の受診日でした。
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